ついに出発日。
2泊3日、予定走行距離400kmくらい。9年前でも十分オジサン、不安が無いわけじゃないが、楽しみのほうが勝っていた。
初日の目標は150kmほど離れた親戚宅。朝5時30分に出発した。10kmほど走るとなんだか寂しくなってきた。家族の顔が浮かんできて、情けない…。
でもキツイ上りにさしかかると、そんなこと言ってられなくなる。息が切れる、山道をひたすら走る。
そしてその日は平日だったため、通学のバスからおれを見る高校生の視線が痛い。
バス信号待ち→おれが追い越す→バスに抜かれる→バス信号待ち→おれが追い越す
の繰り返し。
何だこのオッサンはという視線。聞こえるよ君たちの心の声が…。
山を抜けると今度は田んぼが広がる。平らな道はありがたい。朝、妻に持たされたおにぎりを食べる。自転車こぐと腹が減る。空腹は最大のごちそうとはよく言ったもんだ。滅茶苦茶うまい。妻に感謝。
順調に進んでいたが、少し道に迷う。当時はスマホがないから、紙の地図を持って行った。大雑把な地図なのでまあしょうがない。誰か歩いてたら道を尋ねようと思っていたが、田舎のため人がいない…。
困って走っていると、な、なんと交番発見!!!助かった、すぐに駆け込み道を尋ねる。やさしいおまわりさん、丁寧に教えてくれてありがとう。
途中、おじさん?おじいさん?に呼び止められ、話しかけられる。
あんまり話したくないけど、少し話を聞く。徒歩で旅をしているらしい。そして、
「貧乏旅なもので、お金恵んでください!!!」と、手を出すジジイ。
それが目的か!あんまりしつこいんで100円あげた。なんかおれのリュックをチラ見してるんで、盗まれないように用心する。
まあ、いま思えば旅の笑えない思い出だが、その時はムカついた。
そして本日の目的地まであと20kmまで来たところで、雨が降ってきた。勘弁してくれよ。自転車の旅で一番嫌な状況だ。リュックから雨合羽を取り出し着る。靴がびしょびしょになり気持ち悪かったのを覚えている。自転車こいでても寒い。
もう最後は景色を楽しむ余裕もない。車が水溜まりの水を容赦なく浴びせてくる。寒い。
おたくらに優しさは無いのかい?
寒さに耐え、何とかこの日の目的地に到着した。嬉しかった。寒さも、大変な上り坂のことも達成感でふっ飛んだ。
夜は親戚の伯父さん、伯母さんと宴会!楽しくて飲み過ぎた(^^;